第127号 PARTNERコラム
国際キャリアを生かし、離島でグローカルに働くという選択肢

私がいる海士町(あまちょう)は人口約2,200人の島根県隠岐郡の離島です。そこで、グローカルコーディネーターとして、地域創生に取り組んでいます。

海士町は、後鳥羽上皇の流刑地として日本史に登場し、最近では、人口減少により廃校寸前となった高校を立て直し、財政破綻寸前の状態を町民全員で乗り切り、町民の高齢化が進む中、年間100人以上の若者が海士町を支える仕事に従事する還流事業を進める等の地域創生策に先駆的に取り組んでいます。
町のモットーは、「ないものはない」で、生活に必要なものは何でもあるところです。


海士町は若者の還流事業で有名です。

海士町は若者の還流事業で有名です。
写真提供:海士町役場


「国民総幸福」を掲げるブータンとの協力関係は2016年から続いています。

「国民総幸福」を掲げるブータンとの協力関係は2016年から続いています。教育魅力化、観光振興、地方自治分野の研修員が毎年来島します。


町の人々と関わる中で、気になったことがあります。
この2~3年で、20名ほどの高齢者の方々が、海士町から子供夫婦がいる本土へ移住したという話を伺いました。介護施設職員の高齢化や数少ない介護職により夜間のオンコール対応を行っている苦労も聴聞しました。
そして、西ノ島町、知夫村、海士町(この3町村を「島前(どうぜん)」と言います)のウェブページでは、看護師、保健師、介護師が常に募集中になっているのも気になる点です。

地域の中核病院である隠岐島前病院(西ノ島町)は、時には終末期の利用者さんの希望に寄り添い医療スタッフも共にバーベキューを楽しむ等、利用者さんのQOL向上のために最善を尽くす、地域医療を実践する病院です。
海士町では、健康福祉課の保健師の皆さんが毎月地区の集会場で高齢者の方々との茶話会を行っていて、健康相談に応じています。
また、海士町の若手元医療職が立ち上げた株式会社Amacareの発意で、高齢者の方々が島内で暮らしていけるために、訪問看護や訪問介護サービスを強化する取り組みがスタートしています。

この様に、利用者さんのために何でもやる、Face to Faceで人間関係や信頼を育みながら利用者さんの幸せのために仕事が出来るのが、島前の医療現場の良いところなのかもしれません。


写真:入院されていたご夫婦をお連れして国賀海岸でデート。

入院されていたご夫婦をお連れして国賀海岸でデート。
写真提供:隠岐島前病院


写真:利用者さん、看護師、薬剤師、作業療法士と一緒にお花見へ。

利用者さん、看護師、薬剤師、作業療法士と一緒にお花見へ。
写真提供:隠岐島前病院



ところで、島前の医療状況は、課題感も、良い面も、国際協力の現場と似ている様に思いませんか?
医療資源の制約を乗り超えるための創意工夫が求められること、利用者さんの幸せのために働くことが出来る環境があること、地域の人々の協力も得ながら活動することなど、国際協力の現場で従事した経験が活かされるのが、島前、そして、離島の医療・介護の現場の様に思います。

島前の海は透明で、海の幸も豊か、時間もゆるく流れ、人々の懐も深いです。
現在、島前には私も含めて9名のJICA海外協力隊経験者が教育、医療福祉、国際協力の分野で働いているのですが、どうやら、島前は国際協力の現場を経験した人たちにとって居心地が良いところなのかもしれません。

島前には、国際協力の現場を経験された医療・介護職の皆さんの力が活かせる現場があります。皆さんの国際キャリアのステップのひとつとして、是非ご検討いただければと思います。
島前地域での仕事に興味がある方は、是非、株式会社風と土と(担当 長島様:ama_iryou@kazetotuchito.jp)へお問合せ下さい。


写真:西ノ島の摩天崖。地球の営みを身近に感じることが出来るのも隠岐の魅力。

西ノ島の摩天崖。地球の営みを身近に感じることが出来るのも隠岐の魅力。



参考動画: 日本の地域で活躍するJICA海外協力隊経験者へのインタビュー(JICA中国のFacebookより)
参考情報: 離島×介護 on-lineツアー025年3月14日(オンラインで開催)
海士町での介護の仕事や生活について、ゆるゆるとお話します。お気軽にご参加ください。



(写真:河添靖宏)

河添靖宏
1992年度3次隊、マレーシア、村落開発普及員(現在のコミュニティ開発)
2022年6月にJICAから海士町に出向。
海士町発の国際協力と共に、グローカルな視点から海士町内の地域創生に取り組んでいます。

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