第130号 PARTNERコラム
草の根国際協力(前編)~教育の力が未来を変える!リーダーシップ教育とは?

私は2001年にフィリピンで非政府組織のNGO LOOB(ロオブ)を設立以来、パナイ島イロイロ市にて、貧困コミュニティで青少年育成とコミュニティ開発に携わっています。
フィリピンは経済的な理由により退学する子どもが特に多い国です。
『子どもがドロップアウトすることなく教育を受けられ、子どもの人権が回復している』そんな社会を築くため、フィリピン人のスタッフと日々奮闘しています。

貧困地域で教育支援を始めた理由

私は北海道で小学生の頃からYMCAの野外活動に参加し、大学生の時には国際キャンプのリーダーを経験させてもらいました。
その体験から、個人の成長が地域や国作りの土台になると強く実感し、大学卒業後は国際協力での現場経験を積み、フィリピンの仲間と共にNGOを立ち上げました。

貧困家庭から若者のリーダーが育つ

LOOBではEducation for Allのビジョンを実現するため、子ども達の学資援助と週末に行うノンフォーマル教育活動に注力しています。
私の仕事としては、自治体の長と協議をして事業計画を立案をしたり、現場で支援活動を実践するスタッフに助言や指導をしたり、資金と時間を有効に活用するために全体の方向性を調整したりしています。
特に、ごみ処理場があるコミュニティの生活環境は劣悪で、これを改善するため、2006年に教育支援と中高生・大学生リーダーの育成事業が始動しました。
現在では毎年30人ほどのリーダーを輩出しており、SDGsリーダーシップ研修を受けた彼らは、イロイロ市内の15校でワークショップを開催できるまでに成長しました。


LOOBに参加する若者リーダーと子どもたちの様子

LOOBに参加する若者リーダーと子どもたちの様子

子どもたちの成長と未来への希望

リーダーとして活動する彼らは、同年代の学生にごみ問題の重要性を伝えるという活動を通じて、自分の地域社会への理解や愛着を深め、高い目標を持つようになり、家庭や学校からも期待されるようになりました。
その成果の一つとして、ごみ処理場のあるコミュニティでは、2009年から2019年の10年間で約100世帯のドロップアウト数が4分の1までに減少しました。

小学生の頃からLOOBに参加し、現在はJLジュニア・リーダーのマリーさん(17歳)は「一番良い経験になったのはキッズキャンプに参加したこと。
将来は学校に通えない子ども達が無料で教育を受けられる学校を作るのが夢です。」と語ります。
彼らは若者のロールモデルとして、自ら学びながら地域課題の解決に挑み続けています。その過程で身につけたリーダーシップや企画力、発信力は、将来のキャリアに直結する貴重なスキルとなるでしょう。
「変化を起こす力」を実感し、個人と地域が共に成長するこの循環こそが、LOOBが大切にしているリーダーシップ教育です。


ゼロウェストリーダーとして活躍する女性たちと小林(写真中央)

ゼロウェストリーダーとして活躍する女性たちと小林(写真中央)


後編では、 LOOBが始めたもうひとつのプロジェクトについてお伝えします。

NGO LOOB代表
小林 幸恵

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