第475号 シリーズ 国際協力の第一線(団体編)~私の国際協力の“第一歩”-海外現場に触れて-~
私は開発コンサルティング企業に就職し今年で3年目になる。まだまだ一般的な知名度の低い業界であるため、周囲からは、なぜ国際協力に関心を持ったのか?など良く聞かれる。 きっかけは色々あるであろうが、きっと“第一歩”となったのは、今から5年以上前に大学の授業の一環で海外の現場に触れる機会があったことであろう。
大学4年生になる前の春休みのこと。土木工学や計画、政策等の社会基盤整備の基礎を学び、これから研究室を選ぶという時期であり、私も悩んでいた。 漠然と海外での仕事に携わりたいという気持ちはあったものの、直接見たことがあるわけではなく、具体的なイメージは全く湧いていなかった。 そこで耳にしたのが、海外現場視察の話。3年次に受講していた、海外の様々なプロジェクトを取り上げ、ケーススタディを行うという授業の一環で、UAEのドバイメトロやトルコ・ イスタンブールの ボスポラス海峡横断地下鉄 の現場を見に行き、関係者にヒアリングを行うというものであった。 私のチームはインドのBOPビジネスを取り上げていたため直接の関係はなかったが、手を挙げて参加することに決めた。
海外に自分で行くのも初めてで、航空券・ホテルの手配に始まり、何もかもが初体験であったが、それまで学んできことが社会でどう役立つかということ、 国際協力の分野で活躍したいのであればまだまだ学ぶべきことが多いということを肌で感じることが出来た。
砂漠にそびえ立つ高層ビル群の中を走るドバイメトロ。首長の無茶な要求にどう応えるか。「トルコ国民150年の夢」とも言われる、 分断されたヨーロッパ側とアジア側をつなぐ、ボスポラス海峡横断地下鉄。地中には遺跡が多数存在し、海では海流が強い場所でどうトンネルを作るか。 印象に残っているのはどれも苦労話だが、それを生き生きと話す方々を見て強く憧れた。また、当時まだ開通前であったボスポラス海峡トンネルをヨーロッパ側から アジア側まで歩くという貴重な機会をいただき、トンネルの壮大さ、美しさに気づくこともできた。
(写真:シールドトンネルから沈埋トンネルに変わる海底区間始点)
海外視察を終え、結局私は国際プロジェクトをテーマに研究を行う研究室に入ることになり、トルコで知り合った開発コンサルタントの助言をもとに、 インド・デリーメトロを題材に卒論を書くことになった。インド出張でまた開発コンサルタントと知り合い、その縁で今日に至るが、長くなるので今回は割愛する。
(写真:遺跡が何層にも発掘されたシルケジ駅立て坑)
国際協力には色々な形があるが、これから国際協力の分野で活躍を目指される方は、少しでも現場に触れる機会を積極的に作っていってほしい。文献等で勉強することももちろん大事だが、 自分の目や耳、全身で感じた一次情報の代わりにはならないからだ。「現場でどういったことが課題であるか?」、「自分自身が国際協力にどういう形で携わり、どういう人間になりたいか?」 そして、そのためには「今後、何を学ぶべきか?」を考える上で無駄にはならないはずだ。
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