国際キャリアフォーラム in 福岡

イベントレポート

PROGRAM

プログラム

イベントスペース | セッション 14:15~15:15

「新興国・途上国」×「テクノロジー」ビジネス

中野 遼太郎
レキオ・パワー・テクノロジー株式会社 経営企画部 部長
宮本 知典
KFT株式会社(Anny Group) 専務取締役

中野 遼太郎 レキオ・パワー・テクノロジー株式会社 経営企画部 部長

「『新興国・途上国』×『テクノロジー』ビジネス」と題したセッションの前半に登壇したのは、レキオ・パワー・テクノロジー株式会社(以下 レキオ) 経営企画部 部長の中野 遼太郎氏。どんなことも面白がってがむしゃらに向き合った今、レキオと目指していることを話していただきました。


中野氏は、東京の大学で社会科学を専攻していましたが、社会人のスタートはIT企業でした。3年ほど勤め、その後インドの会計事務所で営業、ドローン操縦士の資格制度の企画職を経て、レキオに入社。キャリアに一貫性はないけれども、どんなことも面白がって、がむしゃらにやってきたとお話しされました。


レキオは、沖縄県唯一のJ-STARTUP企業です(J-STARTUP:経済産業省がJETRO、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)らと共同で運営するスタートアップ支援プログラムの総称)。2012年頃、スーダンでJICAの支援のもと立ち上げられたDr.カープロジェクトに、レキオ代表の河村氏がアドバイザーとして参画していたとき、現地の保健省から「2000ドル以下でUSBにつないでエコーを見られるものを作って欲しい」との要望があり、この事業が始まりました。


レキオは、現地ニーズに合致した仕様のエコーを2015年に開発。エコーの特長は「軽い(ポータブル)/外部電源不要/安い(2000ドル以下)/メンテナンス不要/簡単」。主に助産師さんの検診レベル向上のために使われたとのことです。


現在は開発途上国を中心に国内外50ヶ国に向けて展開中ですが、医療機器認証を得ることが難しく、歓迎される割に販売には必ずしも結びつかないことが課題でした。そこで、医学部の学生や理学療法士が実習で使えるように、教育の場に機器を展開しました。 現在は全世界からデータを集め、解析し、それをアプリに還元し、サブスクリプションライセンスでのビジネスの構築にシフトしつつあると話してくださいました。


中野_【セッション】「新興国・途上国」×「テクノロジー」ビジネス


中野氏:

「当社の目標は、地球上から医療空白地域をなくすこと。医師だけでなく、自分自身でも体調・健康管理ができることを目指しています。」

宮本 知典 KFT株式会社(Anny Group) 専務取締役

セッション後半では、KFT株式会社(Anny Group)(以下、KFT)専務取締役の宮本 知典氏に登壇いただきました。宮本氏は、「建築」という視点からのテクノロジーについて、お話しくださいました。


大学入学後、学生団体・NPO法人ドットジェイピー 福岡支部 創設メンバーになった宮本氏は、NPO等へのソーシャル・インターンシップ事業の運営等を行い、新卒で大手通信インフラ企業に入社。しかし、その後退職して福岡に戻り、Anny Groupと出会ったそうです。サービス企業であるAnny Groupで、雑貨屋店員をはじめ、岩盤浴店員、物流、経理などさまざまな職種を経験。全力で取り組んだ結果、これまでにない温熱環境を提供する「光冷暖」システムを世界へ展開するなど、キャリアの道も開けていったと話してくださいました。


温熱環境は今後重要な課題ですが、「光冷暖」はエアコン利用に比べて電力消費量が少なく、エネルギー消費抑制に有益なシステム。現在は、「健康」「快適」を大切にした住環境を作ることをミッションとしているそうです。


ビジネスの視点で見ると、業界によらず世界に出ていく必然性は「市場拡大」と「生産性向上」の2つあると宮本氏は話します。「市場拡大」については、先進国のみならず新興国でも、経済成長に伴い健康・快適の価値は徐々に認められているから。「生産性向上」については、日本国内の労働力に頼る事業形態は限界を迎えているためだそうです。ただし、“アウトソース先”という考えではなく“Win-Win”の関係が構築できるパートナーを作りたいと考えていて、結果、苦労する点も多いながら、着実に成果を上げていると説明してくださいました。


宮本_【セッション】「新興国・途上国」×「テクノロジー」ビジネス


宮本氏:

「“お客様のために必要なこと”すべてに地道に取り組むことがイノベーションに繋がってきました。新興国は制約が多いからこそ、新たなイノベーションを生み出す素地になっていく可能性があります。事業を世界に拡大していくことが、結果的に社会課題の解決に繋がっていくと考えています。」