登録団体詳細
一般社団法人ピースセルプロジェクト
団体情報
- 団体名
- 一般社団法人ピースセルプロジェクト
- 団体種別
- 国際協力実施団体(法人格有)
- 所在地
- 神奈川県
- 設立年月
- 2021/ 04
- 設立目的・事業内容
- 代表の高遠菜穂子は、2003年のイラク戦争勃発時から15年以上も個人で緊急人道支援活動を行い、爆撃による被害者、難民、国内避難民、ストリート・チルドレンなどに食料・衣料・シェルターなどの生活必需物資の支援を行うほか、現地の医療機関と共同での医療ミッションも数多く行ってきました。また、紛争の根本原因の一つである、他民族・他宗教・他宗派の人々の間で、世代を超えて受け継がれてしまう「報復の連鎖」を緩和するために対話の場を用意し、相互理解を進める機会を作る努力もしてきましたが、参加者たちは自身の被害体験のみに言及することが多く、互いの状況や背景を理解し合うことの難しさを痛感しました。 しかし、イラクとシリアにまたがる地域で活動するイスラム過激派組織ISILによる占領の終結前後から、現地の若者たちとの交流の中で、彼らが多様性を認め合うことの重要性に言及し始めたことに気づき、これを推し進め、次の世界を担う現地の若者や子どもたちが、互いの民族や宗教・宗派などの垣根を超えて、お互いを理解し合うために必要な支援をすべく、2018年に、任意団体・ピースセルプロジェクトを立ちあげました。人間がもともと持っている感受性、創造性、好奇心、想像力、思考力、自己表現力、共感力を高め、非暴力による紛争解決の可能性を探り、共生による平和構築を現地の若者たちや子どもたちの手で実現していくために必要な、読書の習慣化、環境保全活動、コミュニケーションワークショップなど、平和と共生を実現するための様々なプロジェクトを行っています。 団体は2022年に一般社団法人となり、その活動を広げています。 ピースセルプロジェクト(以下PCP)の最大の活動目的は、イラクにおける世代を超えて受け継がれている「報復の連鎖」を断ち切り、現地の人々が中心となって、長期的な平和構築を行うことです。そのために、PCP独自の平和構築メソッド(*「ドホークモデル」)の開発・普及と、紛争に密接に関わっている化石燃料への依存を減らすため、環境保全活動(以下エコロジー活動)に取り組んでいます。 *「ドホークモデル」に関して:イラク・クルド人自治区のドホーク県は、イラクや隣国シリアでの度重なる紛争・戦争から逃れた、多様な背景を持つ難民を数多く受け入れています。ドホーク県内には、5つのシリア難民キャンプ、15の国内避難民キャンプがあり、人口は受け入れ前の2倍と言われています。一つの地域に多様な背景を持つ人々が暮らすこの地で、相手の背景を想像・共感する力を醸成し、コミュニケーションを通して相互理解を後押しする活動は、紛争の予防・解決の面で意義深いと考えています。上記を、現地の教育関係者との連携でPCP独自のメソッドとして確立し、ドホークで確立されたその手法を、広く全地域での公教育の中で使用できるようパッケージ化する予定です。そのパッケージを「ドホークモデル」と呼んでいます。
- 活動分野
- 教育、気候変動対策、自然環境保全、平和構築
- 活動国
- イラク
- 活動実績(国内)
- 活動実績(海外)
- <活動実績> 【学校図書室の新設・運営】 2021年に、国内避難民の子どもたちが通うイラクドホークの公立小学校に多言語学校図書室を新設。蔵書は200冊を超える。月で延べ約500人が利用する。 【絵本の読み聞かせ・読み手育成ワークショップ事業】 公立パヤム小学校にて、日本語・クルド語・アラビア語をメインに1年生〜6年生までの子どもたちに図書室での読み聞かせを行う。年間約6,480人の子どもたちに読み聞かせを実施。 【移動図書室(モバイルライブラリー)の実施】 マイクロバスを改装して移動図書室を造り、公園や保育園、小児病棟や避難民キャンプに出向き、多言語での読み聞かせを行う。年間約760人の子どもたちに読み聞かせを実施(延べ数)。 【より効果的に子どもたちの想像力を養える読み手の育成】 地で絵本の読み聞かせができる人材の育成を目指し、NGO職員や幼稚園の職員に「読み聞かせワークショップ」を実施。年間約60名のNGO職員・幼稚園の先生にワークショップを実施 【団体独自の絵本「モンちゃんシリーズ」の作成・出版】 団体オリジナルの紙芝居と絵本を作成・出版。 【エコロジー事業】 紛争解決・予防のみならず、イラクで深刻な水不足や砂漠化、ゴミ問題による環境への負荷軽減・解消に向けて、子どもたちへの基礎教育・体験型学習を行う。公立パヤム小学校に新設した学校図書室において、生徒約145名に環境問題についての授業を実施。 【コミュニケーションワークショップ事業(以下:コミュニケーションWS)】 イラクの青少年の共感力(エンパシー)醸成とワークショップを牽引できる現地人材の育成に取り組む事業。日本から、紛争地域での相互理解のためのコミュニケーションWSに造詣が深いファシリテーターを招聘し、2週間のコミュニケーションWSを実施。2022年10月〜11月までで、計10回、延べ124名の大学生・NGOワーカーにワークショップを提供。満足度調査では約8割が「大変満足」、同じく約8割が「ファシリテーターになりたい」と回答。 【サマースクール事業】 図書室を新設したパヤム小学校で2ヶ月の夏休み期間を利用し、音楽、お話し作り、空手の3つのコースを提供。応募があった合計約70名の生徒に提供。 <今後の活動計画> 【学校図書室の新設・運営】 2023年現在、ドホークで2校目となる学校図書室を新設中。これにより、600人以上の生徒に他言語での読み聞かせが可能になる。 【絵本の読み聞かせ・読み手育成ワークショップ事業】 2校の学校図書書室での絵本読み聞かせを行う。合計延べ 12000人以上の生徒に読み聞かせが可能になる。 【エコロジー事業】 図書室のある2校の小学校でのエコロジー授業の実施。合計のべ約300人の生徒へ、環境問題の基礎知識とワークショップを提供。 【コミュニケーションワークショップ事業(以下:コミュニケーションWS)】 ドホーク大学と連携し、大学生やNGOワーカー向けのコミュニケーションワークショップ事業の実施。想像力・共感力を養うコミュニケーションWSを、ドホーク大学の生徒約100名と、NGOスタッフ約30名に実施する。
- SDGsへの取り組み