第43号 PARTNERコラムコロナ禍での医師としての国際協力

私は海外が大好きで、医療を通して国際協力に携わりたいという思いから医師になりました。学生時代はバックパッカーとして世界各地を旅したり、ガーナで医療ボランティアをおこなったりして過ごしました。「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」でアメリカに留学し、あらゆる疾患を自分で診ることのできる総合診療医の働き方に感銘をうけ、今は日本で総合診療医として働いています。世界を舞台に医師として活躍したい。そういった思いで国際協力への携わり方を模索しながら、カンボジアでの医学教育活動にも携わっています。

(ガーナでの医療ボランティアの様子)
(ガーナでの医療ボランティアの様子)
(ガーナで一緒に活動した仲間達)
(ガーナで一緒に活動した仲間達)

カンボジアでは、ポル・ポト政権率いるクメール・ルージュによる大虐殺によって医師を含めた多くの知識人が亡くなったという歴史があります。このため、他国と比べて医学教育体制の遅れがあります。その解決のため、日本の医学教育をカンボジアへ提供する活動を他の医師達と共にAPSARAという団体で行っています。これまでは現地での活動が中心でしたが、コロナウイルス・パンデミックの影響で現地への渡航が難しくなったため、現在はオンラインでのレクチャーが中心となっています。日本では私達が当たり前のように受けている医学教育も、カンボジアでは体系化されていません。毎回多くのカンボジア人医師、医学生が参加し高い評価をしてくれており、微力ながらもカンボジアの医療レベル向上に携われていることを嬉しく思っています。

(カンボジアでのレクチャーの様子)
(カンボジアでのレクチャーの様子)
(参加者のカンボジアの医師、医学生)
(参加者のカンボジアの医師、医学生)

コロナ禍で国際協力のあり方が難しくなってきていますが、逆に可能性も増えてきていると感じます。現在は現地での活動が難しい代わりに、インターネットを利用して空いた時間で国際協力に携わることができます。国際協力に携わる上で医師としてのさらなる成長と専門性の習得が必要と感じていますが、日本でキャリアを積み重ねながらも同時進行で世界へ還元することができます。臨床現場ではコロナウイルスに手を焼く日々ですが、パンデミックの経験を通して、国際協力の新たな形を見出すことができました。むしろ人と人、国と国の繋がりの強さを感じられる場面もあります。この未だかつてない感染流行に直面して、暗いニュースばかりが目立ちますが、悪いことばかりではないのかもしれないと感じています。

私の国際協力への原動力は、海外への愛情と情熱です。医師としての専門性を磨きながら、国際協力という形で還元できるよう今後も活動していきたいと思います。

水戸協同病院
総合診療科
米崎駿

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