コラム 海外を目指す学生たちのリアル
若山 空也(わかやま・くうや)さん(JICAインターンシップ・プログラム参加者)
やりたいことが分からなくても大丈夫!優柔不断だった私が、国際協力という道を見つけるまで。
「JICAインターンシップ・プログラム」では、国際協力に関心のある学生(大学生・大学院生)および社会人に、JICA各部署および開発コンサルティング企業におけるインターンシップの機会を提供しています。今回ご紹介するのは、2021年度JICAインターンシップ・プログラムに参加した若山空也(わかやま・くうや)さん。現在、金沢大学医学部に在籍している若山さんには、いずれ医師として国際協力の分野で活動したいという夢があります。しかし、大学生になるまでは、国際協力やJICAについてほとんど意識していなかったそう。そんな若山さんは、いつ国際協力に興味を持ち、なぜJICAインターンシップ・プログラムに参加してみようと思ったのか。若山さんが国際協力という道を見つけるまでの意思決定プロセスとは。全3回のシリーズでお届けします!
*インターンシップとは、就業体験を通じて、企業や仕事への理解を深める制度のこと。
一つのことに絞れない性格。好奇心の赴くままに動いた高校時代。
- 若山さんは2021年11月から約3か月間、「JICAインターンシップ・プログラム」に参加したんですね。そこではどんな仕事をされていましたか?
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私がインターンとして配属されたのは、JICAの「人事部開発協力人材室」です。そこで、国際キャリア総合情報サイト「PARTNER」のコラム執筆、セミナーの運営補助、国際キャリアに関する意識調査などに携わりました。くわしくは連載後半でお話ししますが、今後の私の方向性を決定づける、貴重な経験ができたと感じています。将来は国際協力の世界で働きたいと思って参加したインターンでしたが、その想いがさらに強くなりました。
- 国際協力の世界で働くことは、昔からの夢でしたか?
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いえ、大学に入るまで実はまったく考えていなかったんです。英語が好きだったので海外への憧れはありましたが、国際協力への関心はありませんでした。この世界は中高生で海外ボランティアに参加したり、学生団体を立ち上げたりして、早いうちから活動している人も多いですが、私はそうではありません。というのも昔から何事も一つに絞れないタイプで、大学では医学部に在籍していますが、高校は普通科でしたし、もともとは文系だったんです。こういう性格なので、進路を決めるまではものすごく悩みましたね。
- 医学部に入ったということは、途中で文系から理系に転向したのですか?
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そうですね。子どものころは飛行機が好きだったので、「パイロットになりたい」なんていう淡い憧れもありましたが、明確な将来像が描けないまま、高校は普通科を選びました。そして、入学後も一つのことに絞れない性格が発揮されて…(笑)、2年生で一度文系コースを選択して、その後は理系コースに変更しました。進路を決められなかったので、「幅広い選択肢を残したい」という気持ちが働いたんでしょうね。理系を選んでおけば、もし文系に戻りたくなった場合もいくらか応用が利くと思ったので。
- 高校時代はどんな生活を送っていましたか?
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高校は、入学と同時にラグビー部に入りました。中学までは剣道をやっていたので、チームスポーツを経験してみたかったんです。野球やサッカーは幼少期から続けている人が多いので、どうせなら新しいスポーツに挑戦してみようと考えました。ラグビーはハードなスポーツなのでしんどいときもありましたが、すごく楽しかったです。キャプテンも任せてもらえましたし、仲間と力を合わせて頑張る、という経験を高校時代にできたのは良かったです。
ほかにも、文化祭の司会や体育祭の応援団長など、「やってみたい」と思ったことには何でも手を挙げました。「目の前にチャンスが来たら、とりあえず飛び乗る!」という感じですね。今の私には「全力で取り組むからこそ、得られるものがある」という信念があるのですが、その考え方の基盤ができた高校時代でした。
本当にやりたいことが見つからないまま、受験期に突入。
- 進路は、どうやって決めましたか?
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進路選択はかなり悩みました。高校受験のときのような、「これがやりたい」というものに出会えていなかったので。漠然と「パイロット」がまだ頭の中にありましたが、きちんとした目的意識は持てていませんでした。「将来〇〇になりたいから〇〇大学を目指す。そのために〇〇に力を入れて勉強する。」という計画を立てて取り組む受験生もいると思いますが、私は全然考えられていなかったんです(笑)。
- 経済学部、国際学部、工学部、医学部…いろいろな学部を受験したんですね!
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そうですね。まわりにも、こういうスタイルで受験に挑んでいた人はいなかったと思います(笑)。大学受験でも、一つのことに絞れない私の性格が浮き彫りになりました。日本の大学では、受験時に専門分野を一つに絞ることを求められることが多いので、私にとってはつらかったですね。
現役での合格はできませんでしたが、浪人時代の1年間は自分としっかり向き合うことができたので、すごく貴重な時間でした。高校時代は、部活や学校行事など、目の前のことにいっぱいいっぱいで将来像について深く考えたり、自己分析をしている時間がなかった。一瞬一瞬に全力で取り組んでいたらあっという間に3年間が終わっていたので(笑)。今振り返っても、浪人時代が寄り道だったという感覚はまったくありません。私の人生にとって必要な1年間だったと思います。
それと、英語が好きだったので、海外の大学への進学も少し考えていました。でも、10代から世界を目指すような人は、幼いころに海外に住んでいたとか、帰国子女とか、海外にルーツのある人がする特別な選択だというイメージもあって…埼玉県の普通の家庭で生まれ育った17、18歳の私には、一人で海外に飛び込んでいく勇気は持てませんでした。実はこのことが後々、隠れたコンプレックスとなって国際協力の道を選ぶきっかけの一つになったのですが…それは後半でくわしくお話ししますね。
医師を目指そうと決心。
- 悩まれたと思いますが、最終的に医学部を選んだ理由は?
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それには、二つの理由があります。一つは、せっかく大学で何年も専門的な勉強をするなら、学んだことがダイレクトに仕事に役立つ分野がいいと思ったからです。もう一つは、「自分は何をしているときに一番幸せを感じられるか」について考えてみたとき、「自分自身の欲求を満たせたときよりも、自分の行動が誰かの役に立ったときの方がうれしい」と気づいたからです。将来の職業を一つに絞るのは難しかったのですが、私が本当に幸せを感じられる進路は何かと考えたときに、医学の道がいちばん理想に近いと思いました。
もちろん、人の役に立つ仕事はたくさんありますが、医師なら直接患者さんの顔を見て、診断をして、治療することができる。そして、自分の努力によってどんどんスキルを磨くことができて、より多くの患者さんの役に立つことができる。その一連の過程に大きなやりがいを感じて、医師を目指そうと心に決めました。
紆余曲折を経て、医師を目指すために金沢大学医学部への進学を果たした若山さん。
このころはまだ、国際協力の世界に関心はありませんでした。
その扉を開くことになったきっかけは、一体何だったのでしょうか…?次回ご紹介します!
<JICAが提供する、中高生向けの国際協力関連情報の紹介>
JICAでは、国際協力についての理解を深め、参加型で学ぶことのできるイベントやマンガで知る現地の活動紹介など、中高生でも取り組みやすく、国際協力を考えるきっかけとなるコンテンツを定期的に更新しています。ぜひ、チェックしてみてください。
・JICA地球ひろば:
https://www.jica.go.jp/hiroba/index.html
・JICA発行のマンガ一覧:
https://www.jica.go.jp/publication/manga/index.html
~大学生になったら、JICAインターンシップ・プログラムにも参加してみませんか?~
・JICAインターンシップ・プログラム:
https://www.jica.go.jp/recruit/intern/index.html
参加者の体験談は「関連資料」に紹介していますので、こちらもぜひ読んでみてください。